「ターザンロープ」で女児が指切断か 市は遊具使用を中止 大阪・岸和田市(ABCニュース) - Yahoo!ニュース
- どうしてうちの子はよくケガをするんだろう
- 子どもは急に突拍子もないことをするのはなぜ?
- どうにかして未然にケガを防げないものか
子どもにはケガがつきものと、分かってはいるものの、やはり防げるものは防ぎたいですよね。
20年以上保育に携わっていると、ケガをしやすい動きをしているお子さんは、一定数必ずいます。見たらだいたいわかります。
それでも、周りの大人の努力次第で、子どものケガを防いだり、減らすことは可能です。
いくつかのポイントをおさえて子どもと関わるようにすれば、必ず子どものケガは減らすことができるはずです!
では、そのポイントを見ていきたいと思います。
「天才は、凡人には理解できない。なぜなら、かの人は天才だから」
いわずもがな、子どもは遊びの天才です。
身の回りの環境に、体当たりで関わり、想像し、活用し、全てを遊びとしてとらえていく。
今回のこの遊具での事故は、とても悲惨で、女の子のケガの具合がとても心配です。
と同時に、悲惨な事故の再発防止のためには、どうして女の子は指を切断しなければならなくなったのかを、十分に検証して原因と課題を明らかにする必要があります。
今回の事故で考えてみます。
情報が少ないので難しい面もありますが、いわゆる「ターザンロープ」で指を切断する事態は、大人の我々からすれば、完全に想定外です。
想像力を働かせてみます。
ロープを上り切ったところに、滑車があると思われます。
女の子はきっと身軽で、上り棒が得意、同じようにターザンロープをぐいぐい上っていったのでしょう。
そしてついには滑車のところまで辿り着いた、そこに指が巻き込まれてしまったのではないか、と推察されます。
大人ならば、ロープはぶら下がるもので、上るべきものではないことは察しがつきます。高いところから落下すれば、骨折などの大ケガにつながります。
女の子はどこまでも上れる自分が得意になったのでしょうか、今回はそれが引き金になってしまった、という仮説を立てて考えていきます。
①子どもの行動を予測する
この遊具を設置するにあたり、
「ロープを1番上まで上り切ってしまう」という可能性をどれだけ想定できていたか、が問題点として挙げられます。
もし、少しでも可能性を考えていれば、上まで登れないように途中で「ねずみがえし」のような装置をつけたり、滑車部分にカバーをつけたりと、安全対策を講じられたはずです。
今回はそれがなかったと考えるのが妥当でしょう。
つまり、子どもが大人の想像を超えてしまい、予測不能な行動をしてしまったのです。
②子ども目線で考えてみるクセをつける
子どもの目線とはどういうことでしょう。
それを理解するのに手っ取り早いのは、子どもの目の高さに合わせて大人もしゃがんでみることです。
すると、いつもとは違う景色に気づくはずです。
地面と目との距離が短くなり、地面に落ちているものや這いずり回る虫などが気になります。
上を見上げれば、もう少しで手の届きそうな遊具や木の枝などがいつもより気になるはずです。
物理的にだけではなく、思考も子どもに合わせます。
子どもは子どもなりの考え方をします。
動きのあるものや、光ったりするものに、よく目を奪われます。
お子さんの考え方やクセなど、よく覚えておくといいかもしれません。
高いところに行くとジャンプしがちだな、など普段からよく観察することが求められます。
③先回りして必要な対策をする
予測して子どもになりきったら、最後はケガをしないように先回りして対策をします。
ここで重要なのは、先回りしても過剰な対策はしないことが重要です。
高いところに登ったな、ジャンプするかもしれないな、周囲には人はいないからぶつかりはしないな、着地点の比較的大きい石はどかしておこうか、などなど。
高いところに上ったから、ジャンプしそうだから、慌てて止めなければ!ではなく、危険でないならジャンプはさせてあげてください。
くり返したり、言葉がけをすることで、自分で気をつけようとする力がつきます。
制止してしまうと、学習する機会を子どもから奪うことになり、危険回避能力が育ちにくい状況になりかねません。
少しくらいのケガなら、それは1つの学びです。小さなケガが大きなケガを防ぎます。
子育ての目的は、子ども自身が豊かな人生を歩んでいける力をつけさせること
今回の記事での最重要ポイントは、
「子ども自身が危機回避能力をつける」ことです。
子ども自身が1から全て自分で学んでいけるのならば、親の助けは必要ないかもしれません。
子どもの年齢にもよりますが、保護者の見守りや助言によって、効率的に学習していくことも可能です。
目の前の小さなケガを予防するよりも、もっと長いスパンで考えてみましょう。
最後に…。
やがて、自分たちの手を離れてゆく子どもが、自分自身の判断で危険を回避し、豊かな人生を歩んでいけるように、今のうちからトレーニングをする。
このことは、子育ての究極の目標でもあると、僕自身は考えています。
冒頭の事故の際、保護者の方はどうしていたのかは分かりません。
保護者の方としては、どうしてそばにいて声をかけてやれなかったのかと、悔やんでおられるかもしれません。
大切なお子さんの、危機回避能力を育むために、今のうちからできることは何かということを考えさせられる事故でもあります。
最後になりましたが、
ケガをしたお子さんの、1日でも早い回復をお祈りいたしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。