U先生の【保育あれこれ宝箱】

公立・民間合わせて保育20年、これまでの経験や知識を、できるだけ多くの人に届けたい!

【子育て・声かけ】子どもの「いたい~」にどう声をかける?子どもの気持ちに寄り添う気持ち

もしも、こんな場面に出くわしたなら…

あなたはどうしますか??

 

 

子どもが公園で遊んでいて、つまずいて転びました。

気の毒に、ヒザをすりむいてケガをしています。

「いたい~」と泣いています。

 

 

あなたなら、まずどのような声かけをしますか?

 

 

  1. 「いたくない、いたくない」となぐさめて、早く泣き止ませる
  2. 「いたかったね」と痛がる気持ちを受け止めて、安心させる
  3. 「だから走らないでって言ったでしょ?」と再発防止のため危険を知らせる

 

 

 

 

 

僕が考える正解は、【2】です。

 

 

転んでしまって、「いたい」と訴える子供に対して、

まずは、その痛い気持ちに寄り添ってあげてください。

そうするだけで、少しは痛みもやわらぐはずです。

血が出ているので、流水で洗い、異物などを除いてから止血してあげてください。

 

「手当て」は、実際に手を当てるわけではありませんが、

さながら痛む傷に手を当てるように、痛がる気持ちに寄り添い、

「いたかったね」と共感するだけで子どもは安心できます。

 

 

 

①「いたくない、いたくない」について

 

ついつい、言ってしまいそうになります。

こちらも早く泣き止んでほしいという思いや焦りから、

痛いのは気のせいだ、

気持ちを強く持てば痛みを乗り越えられる、と、

「いたくない、いたくない」と元気づけようとしてしまいます。

 

でも、子どもにすれば、

「いたいといっているのに、いたくないってどういうこと?」

「このひとにいってもダメだな」

と、思いをくみ取ってもらえない人だと判断して、拒否反応を示すでしょう。

 

あるいは、

痛みが引かずに、

気持ちも切り替えられず、

全然泣き止めないかもしれません。

 

あなたも、

「実は、悩みがあるんだけど…」と相談を持ちかけて、

相手の方に、

「大丈夫、大丈夫。悩んでるだけ時間の無駄だよ」

と言われた時の気持ちを想像してみてください。

ちょっと、ムムムとなりますよね…。

 

 

③「だから走らないでって言ったでしょ?」について

 

これも言いたくなります。

こちらは、転びそうだから予め注意喚起のつもりで、

「(慌てたら転ぶから)走らないで!」と声をかけていたのに、

言うことを聞かないからこうなるんだ、覚えてほしい…。

 

分かります、分かります、その通りなんです。

 

でも、子どもはうれしいとつい走っちゃうんです(笑)

なんなら、歩いてなんかいられないんです。

デフォルトで、ランニングなんです。

 

まず、痛かった思いを受け止めてあげてから、

次は自分で危険予測ができるように、

「次からは、よく足元を見て、ゆっくり歩いていこうね」と、

優しく、具体的に、気を付けることを教えてあげてください。

 

 

大人は、つい子どもに期待をかけるあまり、

先んじてこうすべきだと言ったり、

良かれと思い、手を出してしまいがちです。

 

子どもが自分の意思で行動した結果は、

そのまま受け入れて、

その時感じたことを認めて、共有してみてください。

 

子どもは体験を通じてさまざまなことを学んでいきます。

すりむいた痛みは、実体験として身体に刻み込まれ、記憶として定着します。

 

次はこの痛みを回避するために、

危険回避予測をしようとしたり、

スピード調整をしようとしたり、

試行錯誤を繰り返します。

 

 

これこそが、「学び」です。

 

 

その学びへつなげていくための、

子どもが安心して安全に過ごせるための「基地」が、

信頼できる身近な大人になってきます。

 

 

その大人の方には、

できれば、

「いたかったね」と、

子どもの思いに寄り添い、

安心してさらなる冒険の旅へ出るための

ベースキャンプであってほしいと、切に願います。

 

 

そう、

初めてお城へ行く、

勇者を見送る母親のように…(DQⅢ)(笑)

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。