【自分】と【他者】について
子育てや保育をしていると、よくこの話を聞きます。
「自分がされて嫌なことは、人にもしない」
自我が芽生えたばかりの子どもたちは、自分と他者との区別がつくようになり、意思がはっきりとしてきます。
これまでは、親の言うことを素直にきいてくれていたのに、急に「イヤ」などと言い出し、子どもの扱いに困る時期がくるはずです。
この時期の発達段階として、自分以外の相手にも、自分と同じような「気持ち」があるんだ!とはまだ気づけていないことがほとんどです。
そんな時に、「自分がされて嫌なことは、人にもしません」と伝えても、感覚的に、直感的に理解できないでしょう。
【好き】なことや【苦手】なことは千差万別
そもそも、僕はこの「自分がされて~」の言い回しは正しくない、というよりもあまり的を得た表現ではないと思っています。
なぜなら、「自分がされて嫌なこと」≠「他人が嫌がること」の可能性が大いに考えられるからです。
自分が感じることと他人が感じること、まったく同じ感じ方をするということはありえません。
感覚的なとらえ方はひとぞれぞれ。
好きなものも嫌いなことも、得意なことも苦手なこともまったく違います。
子どもに物事を伝えるときは、端的に。分かりやすい理由をつけて
当然ながら、どんな人でも嫌がることはあります。
「叩く」「噛みつく」など痛みを伴うものなどはそのいい例でしょう。
もし、その行動を止めたいなら、自分と相手との比較するような表現はせず、
端的に「〇〇はしません」と毅然と言いきる。
怒りに任せて大声で怒鳴っても、声がうるさいだけで真意は伝わりにくいので、自分の主観ではなく、事実のみを淡々と伝える。
そして、きちんと状況とこちらの思いを、理由をつけて丁寧に伝えていく必要があります。
その時に、「自分がされて嫌なことは、人にはしません」と伝えるのではなく、
①人を叩いたり噛みつくと、された方はとても痛い。
②人を傷つけることはしてはいけない。
③相手の人の気持ちを、考えて理解しようという姿勢が大切。
④できるのであれば、言葉で相手に気持ちや思いを伝えるよう促す。
このステップをとても大切にしていきたいです。
我々、子どもを見守る大人たちは、子どもを加害者にも被害者にもさせないように、子どもの姿をよく観察し、予想される姿を自分の中に数多くのパターンをもっておくと、いざというとき慌てないで済むと思います。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
自分がつい言ってしまう決まり文句のような言葉も、もう一度見直してみると新たな発見があるかもしれませんね!