U先生の【保育あれこれ宝箱】

公立・民間合わせて保育20年、これまでの経験や知識を、できるだけ多くの人に届けたい!

【子育て・保育】「自分がされて嫌なことは、人にもしない」はホント?加害者にも被害者にもさせない

【自分】と【他者】について

 

子育てや保育をしていると、よくこの話を聞きます。

 

「自分がされて嫌なことは、人にもしない」

 

自我が芽生えたばかりの子どもたちは、自分と他者との区別がつくようになり、意思がはっきりとしてきます。

 

これまでは、親の言うことを素直にきいてくれていたのに、急に「イヤ」などと言い出し、子どもの扱いに困る時期がくるはずです。

 

この時期の発達段階として、自分以外の相手にも、自分と同じような「気持ち」があるんだ!とはまだ気づけていないことがほとんどです。

 

そんな時に、「自分がされて嫌なことは、人にもしません」と伝えても、感覚的に、直感的に理解できないでしょう。

 

 

 

【好き】なことや【苦手】なことは千差万別

 

そもそも、僕はこの「自分がされて~」の言い回しは正しくない、というよりもあまり的を得た表現ではないと思っています。

 

なぜなら、「自分がされて嫌なこと」≠「他人が嫌がること」の可能性が大いに考えられるからです。

 

自分が感じることと他人が感じること、まったく同じ感じ方をするということはありえません。

 

感覚的なとらえ方はひとぞれぞれ。

好きなものも嫌いなことも、得意なことも苦手なこともまったく違います。

 

 

 

子どもに物事を伝えるときは、端的に。分かりやすい理由をつけて

 

当然ながら、どんな人でも嫌がることはあります。

「叩く」「噛みつく」など痛みを伴うものなどはそのいい例でしょう。

もし、その行動を止めたいなら、自分と相手との比較するような表現はせず、

端的に「〇〇はしません」と毅然と言いきる。

 

怒りに任せて大声で怒鳴っても、声がうるさいだけで真意は伝わりにくいので、自分の主観ではなく、事実のみを淡々と伝える

 

そして、きちんと状況とこちらの思いを、理由をつけて丁寧に伝えていく必要があります。

 

 

その時に、「自分がされて嫌なことは、人にはしません」と伝えるのではなく、

 

①人を叩いたり噛みつくと、された方はとても痛い。

②人を傷つけることはしてはいけない。

③相手の人の気持ちを、考えて理解しようという姿勢が大切。

④できるのであれば、言葉で相手に気持ちや思いを伝えるよう促す。

 

このステップをとても大切にしていきたいです。

 

 

我々、子どもを見守る大人たちは、子どもを加害者にも被害者にもさせないように、子どもの姿をよく観察し、予想される姿を自分の中に数多くのパターンをもっておくと、いざというとき慌てないで済むと思います。

 

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

自分がつい言ってしまう決まり文句のような言葉も、もう一度見直してみると新たな発見があるかもしれませんね!

 

 

【おすすめの絵本】『あむ』 愛すべき黒犬 

『あむ』 愛すべき黒犬

 

僕がこの本のどこにこんなに惹きつけられるのか、

幾度となく考えたことがあります。

 

 

 

「おれの なまえを、しりたいか?」

「おれは、あむ」

「くろいぬ、あむ」

「あ と む で、あむだ」

と人を食ったような自己紹介で始まる冒頭部分か。

 

 

 

それとも、

飼い主の【かっちゃん】の言いつけを破り、落ちていた生魚を食べた時、

 

『ハライタだ。ムカムカだ』

『ああ、かっちゃんがいったっけ』

『おちてるものを くうんじゃないって』などと、

 

全体に漂うリズミカルで歯切れのよい、それでいてどこかアンニュイな文体なのか。

 

 

 

はたまた、

波の音が、

『ザップン シャララ イン シャララ』

 

踏切近くで

『がったんごぉー』

 

セミ

『ミンミンミンミン セミ ミンミン』

 

などと、独特のオノマトペで表されている

懐かしく響く、あの音が聞こえるこの感覚か。

 

 

 

 

ご主人の少年、かっちゃんが大好き。

いつもいっしょのかっちゃんが友達と海に行ってしまい、

それを追いかけて、首輪を外してまで逃げ出すところから、

物語は始まります。

 

 

たんぼのあぜ道を散歩したり、

近所の川にカワセミを見に行ったり、

かっちゃんといつもいく場所は、

昔懐かしの、日本の田園風景。

 

 

海に行ったはずのかっちゃん、

なかなか追いつけず、

道中、様々な【危機】をなんとか乗り越え、

最後には、どこからともなく聞えてくる、あの音。

 

『ザップン シャララ イン シャララ』

 

 

愛すべき黒犬、あむ。

 

あむの、

夏の大冒険が、

味のある絵と言葉とともに、

繰り広げられます!

 

 

ぜひ、お子さんと一緒に楽しんでみてください。

きっと、好きになってもらえると思います。

 

 

 

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【保育・子育て・言葉がけ】見直したい言葉づかいと表現

見直したい言葉づかいと表現

 

僕自身、子育てのプロとして、どうしてもゆずれないことがあります。

 

子どもに対する言葉がけについてです。

 

私たち保育士は、子どもの記録を書いたり、保護者向けに1日のできごとを書いて知らせたり、毎月のおたよりの準備をしたりと、言葉づかいや表現と日々向き合いながらすごしています。

 

どんな言葉がけをすれば子どもが理解しやすいのか、毎日のように悩んだり葛藤したりもしています。

 

 

言葉は、自身の思いの表れ

 

僕が気をつけているのは、

 

例えば、

「子どもを並ばせる」

「何回も言って分からせる」

「1人1回は参加させる」

「できるまで自分でさせる」

などのように、

 

『〇〇させる』という表現は、使わないようにしています。

 

意図的な文章にしていますが、お気づきの通り、否定的なニュアンスが読み取れると思います。

 

また、指示的な「上から目線」の対応によって、子どもには無意識的に、保育士と子どもが対等な関係ではないことが刷り込まれてしまうおそれがあります。親子関係でも同じことが言えるでしょう。

 

すると、こちらからの指示がないと動けないようになってしまったり、自分の思いをうまく、正しく、相手に表しにくくなってしまいます。

 

無意識に使っていることもあるでしょう。

同じような結果を招いてしまうとするならば、日頃から子どもへの声かけは、きちんと意図したものであることが望ましいです。

 

子どもを主体性を尊重し、意思や感情をもった存在としてとらえ、大切に扱うようにする。

 

そうすることで、子どもがのびのびと自分の思っていることを、感じたものを、うまく表現できるよう支援することにもつながります。

 

 

 

理想的な言葉がけ

 

子どもが自分から能動的に行動する、主体性を育むことを大切にしていくために、子どもを主体とした表現を使います。

 

「子どもを並ばせる」

 →「子どもが自分で並べるように…」

「何回も言って分からせる」

 →「子どもが理解できるように…」

「1人1回は参加させる」

 →「1人1回は参加できるように…」

「できるまで自分でさせる」

 →「最後までしようと思えるように…」

 

 

 

言葉に魂が宿る、「言霊」という言葉を、僕は信じています。

 

子どもファーストの意識があれば、自ずと発する言葉も、少しずつ変えていけると信じています。

 

 

言葉の力を信じて、言葉を大切に。

 

自分の中の言葉を磨くことは、お金のかからないオシャレとおんなじ。

 

気持ちを込めた言葉がけをすれば、内容は同じでも相手の心に浸透しやすいのではないか、と思います。

 

こうして文章にすることで、自分自身の振る舞いをもう一度見直す機会にしたいです。

 

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

子どもの幸せを願う気持ちは、みなさん一緒ですもんね。

【子育て・自立】子どもの自立、大人の関わり方

【自立】とは…

 

「自立」とは、子育ての場合には「自分の意志で物事に取り組み、必要な時には人を頼りながらも自己決定し、自己実現していける力をもっていること」と説明できると思います。

 

子育てに関わる人にとって、当面の目標やゴールは「自立」といっても大袈裟ではないでしょう。

 

そのためには、子どもへの大人の関わり方がとても重要になってきます。

 

子どものもって生まれた素質よりも、人的環境となる親や家族、コミュニティが、どのように子どもを見守り育てていくのか、教育や養護、躾などを行なっていくのか、後天的な環境によって大きく左右されると言われています

 

では、どのような働きかけが効果的なのでしょうか。

 

 

大人の関わり方

 

子どもは、「助けて」というと大人に助けてもらえることを知りません。

 

保育をしている時でも、子どもの様子を見ていると、きっと困っているんだろうな、がんばっているけれど時間がかかているな、という場面に出くわします。

 

状況や程度にもよりますが、安全が確認できる前提で、つい先回りして手を差し伸べたくなる気持ちをグッとこらえて、子どもを信じて見守ります。

 

ひょっとしたら、子どもが試行錯誤するうちに自分の力だけで切り抜けられるかもしれません、そうなれば自信につながり1つ成長できたしるしとなります。

 

それでもできない時にようやく、

「困ったときは、『てつだって』って言うんだよ」

などと、自分が困っていることを言葉で伝えられるように、促すことをよくしていました。

 

「人は助け合うもの」という価値観にふれて、やがて困っている人に手を差し伸べられる人になってほしいという、期待と願いをもって関わるようにしています。

 

人によって、得意なことや苦手なことなど、さまざまな違いがあります。

 

「みんな違って、みんないい」ことを知り、自分から、自分の意思で助けを求められ、やがて自分の力でできるようになることで自信となり、達成感を味わう。

 

すると、少しくらいの困難には積極的に立ち向かい、チャレンジしてみようとする意欲につながっていきます。

 

その地道な積み重ねが、大きな成長につながります。

 

 

私たち大人の役割とは…

 

子どもたちは、まだ経験も浅く、自分の気持ちやしてほしいことを上手く表現することができません。

 

 

大人はつい、早く自立を促しがちですが、先を見据えて、ゆったりと関わりながら、信頼できる身近な大人が見守っているという安心感を感じられる環境を整えていきたいです。

 

 

必要な時にいつでも助けてくれる、信頼できる大人とのやりとりを通じ、多くのことを学んでいけるように、私たち大人は子どもの感性を豊かにしていける存在でありたいですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

子どもに最大限の利益を🌈

 

 

 

 

【保育・子育て・言葉】子どもの心にひびく言葉がけ

保育や子育てのなかで、言葉でのコミュニケーションについての悩みは尽きないのではないでしょうか。

 

「この子は言葉が遅いのではないか」と、悩む方も多いかと思います。

 

言葉が育つためには、いくつかポイントがあります。

 

 

言葉はツール

 

言葉はツールです。

情報を伝える手段であり、道具です。

つまり、

伝えたい相手と伝えたい内容があって、初めて言葉が育ちます。

 

相手に伝える必要のないことばもあります。

簡単に言うと独り言ですね。

 

子どもが遊びながらブツブツしゃべっているのを、子どもと関わる方なら一度は見聞きしたことがあると思います。

 

(内言と言います。ピアジェは自己中心的言語とも呼んでいます。)

 

これは、誰かに向けて発信したものではなく、自分に向けて発したものが、言語化されているものです。

 

「これはなに?」ときくと「これはなに?」と返すような、聞いた言葉を聞いたそのまま返すのも、言葉をツールとして使えているか、疑わしい部分が多いです。

 

(エコラリアと言います。オウム返しという名称は使われなくなっています。)

 

 

 

子どもの立場に立つと…

 

子どもは経験したこと、嬉しかったこと、できたこと、困ったこと、手伝ってほしいこと、いろいろなことを大人と共有したいと思っています。

 

それを、身近なお母さん、お父さん、先生が聞いてくれたらどんなに嬉しいでしょう。

 

言葉を育てるためには、まずは人との関係を充実させていく必要があります。

 

たくさん言葉をかけるだけではなく、一緒に遊ぶ、思いに共感する、いつも見てるよと安心できる環境を整えるなど、親子の関係を強くしていくことが重要です。

 

「これは、りんご」などと、一方的に物の名前をくり返し伝えても、知らん顔されたり、一向に興味をもたなかったり、あまりうまくいかないでしょう。

 

 

大人の立場に立つと…

 

「たくさん話しかけているのに、全然理解してくれない」

「分からないのは、もしかして障がいがあるのでは?」

 

などと、どうしても原因を子どもに求めがちです。

 

子どもは子どもで、心地よい言葉とそうでない言葉をききわけています。

 

心地よい言葉には、笑顔でうなずいたり、目線があったり、緊張感がほぐれたり、行動や表情に表れるはずです。

 

どうしたら、子どもの心にひびく言葉がけができるのか。

 

子どもはどう大人を見ているのか、子どもの立場に立って考えてみましょう。

 

大人の思いや伝えたいことが、子どもの心にひびいているか行動や表情に出ているか、確認しましょう。

 

自分だけでは気づきにくい時は、身近な大人と力を合わせてみましょう。

 

正解のない地道な作業ですが、心と心の距離を少しずつ近づけていくことが、言葉を、コミュニケーションを豊かにする近道だと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

ハッピー子育てライフを!

【保育・子育て】子どもの行動が理解できない時、気をつける事

子どもには、子どもの言い分

 

子どもと日々関わっていると、クルクル表情や感情が行き交い、大人はたじたじ…(笑)

 

それを尻目に泣いたり笑ったりする…子どもたちに、振り回されたり癒されたり、子育てって体力勝負です(笑)

 

泣く、笑う、怒る、かと思えばまた笑う…。

よく分からないままぐずったり、ふさぎこんだり、物に当たったり…。

 

どうしてそんなことをするのか、大人には理解し難いことも多々あります。

 

ただ、どれにも、子どもなりの言い分や理由があります。その行動の「ワケ」を子どもの立場に立って考えてみたいと思います。

 

 

私たち大人でも、急に不安に苛まれたり、ふとした時に心配事が湧き出してきたり、はたまた解決しなければならない問題を突きつけられたり…しますよね?

 

心にゆとりがなくなると、ちょっとしたことで涙が出たり、いつもは聞き流せる音でも「うるさい」と感じたり、ふとしたことでイライラしたり…。

 

理性の育ちが未熟な子どもはなおさらですよね。

 

なので、子どもが急に泣いたり、騒いだり、ぐずったり、怒り出した時には、その背景には何があるのか、子どもの立場に立って想像してみます。

 

  • 嫌と言えない
  • 身の危険を感じている
  • 生理的な欲求が満たされていない
  • やりたくないことを強要されている
  • さみしい
  • 見通しが持てない不安感
  • どこか体調が悪い

 

などなど…

 

想像力を働かせます、ここに大人としての子育ての力量が試されていると奮起してください(笑)

 

生活全体を見渡して、うまくいっていない部分を見極め、原因が挙げられれば、それについて解決策を考えていきます。

 

嫌と言えない

 →嫌という意思表示の仕方を伝える

身の危険を感じている

 →安全なスペースを確保する

生理的な欲求が満たされていない

 →足りていない養護の部分を手厚くする

やりたくないことを強要されている

 →本人の意思確認を丁寧にする

さみしい

 →安心できる環境を整える

見通しが持てない不安感

 →簡単な見通しをもてる手立てを考える

どこか体調が悪い

 →体調は悪くないかよく観察し調べる

 

 

自分のことを心配してくれる、見守ってくれる大人のことを子どもは鋭く察知します。

 

信頼のおける人に、子どもは自分の気持ちを、意思を伝えようと努力し始めるでしょう。

 

そんな感じでいい方向に事態が進みだすと心が軽くなって、大人が理解できない子どもの行動は少しずつ減っていくのではないでしょうか。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

また次も読んでいただけるのを心待ちにしております。

 

 

 

 

 

【子育て・保育・人間関係】子どもと関わるときに大切にしたいこと

子どもと関わるときに大切にしたいこと

 

呼びかけ

きちんと話をするときは、名前を呼び、顔を見て話しましょう。

振り向かなかったり返事がなかったりする時もありますが、そんなリアクションも、嫌な気持ち、緊張感など子どもの気持ちを反映しているものと理解してみてください。

 

 

誘いかけ

何かに誘いかける時は、必ず本人の意思確認をします。

嫌がったり無視したりするのは、本人の精一杯の意思表示です。

どうしてそのような態度をとるのか、理解に努めてみてください。

 

 

お願い

本人が嫌がる時に、どうしてもしてほしいことがあるときは、お願いをします。

嫌がる気持ちは受け止めながらも、どうしてしてほしいのか、理由をきちんと伝えます。

無理強いはせず、考える時間的な余裕ももてるようにします。

 

 

興味の対象

子どもは大人よりどうしても目線が低くなります。

大人が気付けないことを子どもの目線ではとらえられることがあるので、なるべく子どもに目線を合わせます。

どこを見て何を感じてどんな表情をしているか、興味の対象や度合いなど、小まめに観察するようにすると、理解しやすいかもしれません。

 

行動の理由

大人が理解できないような子どもの行動にも、必ず子どもなりの理由があります。

大人の尺度で理解すると、何もそんな理由で!と驚くこともあるかと思います。

子どもの姿を予想し、考えていることを察し、配慮することで、子どもは受け入れられている、理解されていると安心します。

頭ごなしに注意するのではなく、一度子どもの気持ちを想像し、寄り添ってみると、今までみえなかった景色が見えてくるかもしれません。

 

 

あやまる

 

大人が間違えたり、うっかり勘違いして誤解していた時は、きちんと謝ります。

 

大人も謝る姿を見せることは、間違えた時には謝るという手本を示す絶好のチャンスと捉えてください。

 

これを繰り返すことで、子どもも大人も平等な人間関係を築いていけます。

 

 

 

子どもは、私たち大人の話をよく聞き、行動をよく見ているものです。

 

 

私たち大人は、子どもには言っても分からないと思い込み、本人抜きで一方的に物事を決めたり、気づかず傷つける行動をしてしまうことがあります。

 

子どもは親の従属物ではありません。

1人の自立した人間として扱われる経験を積み重ねていくことで、子どもも同じ価値観を共有していくようになります。

 

人も自分も大切にできる人間になってほしいですよね。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。